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Last Modified: 2025/01/06(Mon) 22:54:34〔2日前〕 RSS Feed
2017関屋記念回顧
2017年の関屋記念は、直線の異常な隊列が印象的なレースでした。直線入った段階で逃げ馬が突出している展開なのに、後続の騎手が必死にガチ追いしているにもかかわらず隊列がほぼ変わらない。どの馬も、一つ前の馬を交わすのがやっとというところ。こういう展開はきわめて珍しいのです。勝ち馬がまんまとしてやったというレースでした。
順を追って見どころを紹介したいと思います。
0:06〜
まずはスタート。3番マルターズアポジーが完璧な好発で瞬く間にハナを取ります。実は、この好発からして意外ではありました。というのは、マルターズアポジーは初速こそめちゃくちゃ速いがしかしスタートは決して得意な馬ではなかったからです。事実、アポジーはそのキャリアで何度か出遅れをやらかしたことがあります。しかもこの時の鞍上はぶっちぎりの出遅れ率で競馬ファンに知られた武士沢友治騎手ですからね。
しかし、アポジーはキャリアの中でも最高のロケットスタートを決め、易々とハナを取ります。先述したようにアポジーはキャリアの中で何度か出遅れているのですが、しかし最も多くコンビを組んだ武士沢騎手が鞍上の時は結局ただの一度も出遅れることはありませんでした。スタートが苦手な馬と、出遅れることで有名な騎手のコンビが。
好発が意外な理由はもう一つあります。アポジーは気性が難しい馬で、さらには久しぶりのマイルということもあり、折り合いには不安がありました。あまりにも勢いよくゲートを出しすぎると、その流れですぐさま掛かってしまうということもあり得る馬です。しかも新潟1600は最初の直線が長く、速いラップが出ることが多い。最後の直線が長いので、逃げ馬が残ろうとするなら前半をいかに楽に運ぶかが鍵になります。
0:17〜
アポジーは好発を生かして一定のリードを確保しつつも、掛かることなく折り合います。例年の関屋記念のペースからすると珍しいくらいに安定したラップを刻みます。
0:50〜
3コーナー入ったところからアポジーは少しずつ、徐々にペースを上げていきます。リードは依然として保ったまま。速いペースではありませんが、後続に大きな動きはありません。
ローカルのレースでは騎手に若手やリーディング下位の騎手が多いので、展開、隊列、ペースがおかしなことになりやすいということがよく指摘されます。しかしこのとき後ろには、川田、池添、デムーロ、内田博といった当時トップクラスの実績をあげていたジョッキー、また横山典、柴田善、蛯名正といったベテランなど、レース経験豊富でペースを読むことに長けたジョッキーが揃っている。
1:02〜1:06
3馬身半のリードを保ったまま残り600メートル。後続の騎手が馬を押し始め、後方の馬には鞭が入り始めますが、先頭を駆けるアポジーにはまだまだ余力が。
1:10~1:15
ここで鞍上武士沢がアポジーに「手前を替えて」の合図を送ります。
「手前替え」とは、ものすごく簡単に言うと、「後に着地する前脚を右脚から左脚に、あるいは左脚から右脚に替えること」です。右脚が後に着地する状態で手前を替えると、左脚が後に着地するようになります。左脚が後に着地する状態で手前を変えると、右脚が後に着地するようになります。後に着地するのが左脚の場合を「左手前」と言い、後に着地するのが右脚の場合は「右手前」と言います。
なぜレース中に手前を替えるかというと、同じ手前で走っていると手前脚が疲れてくるからです。直感的にわかりにくい場合は、試しに四足歩行、つまり「ハイハイ」をしてみるとわかりやすい。「手前脚」がずっと一緒だと疲れる感覚がわかるかと思います。
武士沢は新潟の長い直線でアポジーを失速させないために、このタイミングで鞭で合図を送り重心移動で扶助して手前を替えさせたわけです。
1:15〜
アポジーが手前を替えたところで武士沢がすかさず鞭を入れ「GO!!」。アポジーが仕掛けの合図を受けスパートします。
後続も必死に追いますが差が縮まりません。
1:34〜
そのままマルターズアポジーが押し切り重賞3勝目。鞍上武士沢にとっては重賞5勝目で、人馬共に最後の重賞勝ち鞍となりました。
2017関屋記念を見て抱いたのは、武士沢にせよアポジーにせよ「こうも後続を嵌めるようなレースができるのか」というポジティブな意外感。好発しながらも折り合って序盤からペースを支配し、精密なラップを刻んでリードを詰めさせない。直線でも余裕の手応えで馬群を引っ張り、しかし仕掛けどころは間違えず完封する。人馬一体の見事なレース運びに感心したものです。
とくに、鞍上の手前を替えさせてからの流れるようなGOとそれに応えるアポジーのスパートはかっこよかったですね。思い出に残っているレースの一つです。
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順を追って見どころを紹介したいと思います。
0:06〜
まずはスタート。3番マルターズアポジーが完璧な好発で瞬く間にハナを取ります。実は、この好発からして意外ではありました。というのは、マルターズアポジーは初速こそめちゃくちゃ速いがしかしスタートは決して得意な馬ではなかったからです。事実、アポジーはそのキャリアで何度か出遅れをやらかしたことがあります。しかもこの時の鞍上はぶっちぎりの出遅れ率で競馬ファンに知られた武士沢友治騎手ですからね。
しかし、アポジーはキャリアの中でも最高のロケットスタートを決め、易々とハナを取ります。先述したようにアポジーはキャリアの中で何度か出遅れているのですが、しかし最も多くコンビを組んだ武士沢騎手が鞍上の時は結局ただの一度も出遅れることはありませんでした。スタートが苦手な馬と、出遅れることで有名な騎手のコンビが。
好発が意外な理由はもう一つあります。アポジーは気性が難しい馬で、さらには久しぶりのマイルということもあり、折り合いには不安がありました。あまりにも勢いよくゲートを出しすぎると、その流れですぐさま掛かってしまうということもあり得る馬です。しかも新潟1600は最初の直線が長く、速いラップが出ることが多い。最後の直線が長いので、逃げ馬が残ろうとするなら前半をいかに楽に運ぶかが鍵になります。
0:17〜
アポジーは好発を生かして一定のリードを確保しつつも、掛かることなく折り合います。例年の関屋記念のペースからすると珍しいくらいに安定したラップを刻みます。
0:50〜
3コーナー入ったところからアポジーは少しずつ、徐々にペースを上げていきます。リードは依然として保ったまま。速いペースではありませんが、後続に大きな動きはありません。
ローカルのレースでは騎手に若手やリーディング下位の騎手が多いので、展開、隊列、ペースがおかしなことになりやすいということがよく指摘されます。しかしこのとき後ろには、川田、池添、デムーロ、内田博といった当時トップクラスの実績をあげていたジョッキー、また横山典、柴田善、蛯名正といったベテランなど、レース経験豊富でペースを読むことに長けたジョッキーが揃っている。
1:02〜1:06
3馬身半のリードを保ったまま残り600メートル。後続の騎手が馬を押し始め、後方の馬には鞭が入り始めますが、先頭を駆けるアポジーにはまだまだ余力が。
1:10~1:15
ここで鞍上武士沢がアポジーに「手前を替えて」の合図を送ります。
「手前替え」とは、ものすごく簡単に言うと、「後に着地する前脚を右脚から左脚に、あるいは左脚から右脚に替えること」です。右脚が後に着地する状態で手前を替えると、左脚が後に着地するようになります。左脚が後に着地する状態で手前を変えると、右脚が後に着地するようになります。後に着地するのが左脚の場合を「左手前」と言い、後に着地するのが右脚の場合は「右手前」と言います。
なぜレース中に手前を替えるかというと、同じ手前で走っていると手前脚が疲れてくるからです。直感的にわかりにくい場合は、試しに四足歩行、つまり「ハイハイ」をしてみるとわかりやすい。「手前脚」がずっと一緒だと疲れる感覚がわかるかと思います。
武士沢は新潟の長い直線でアポジーを失速させないために、このタイミングで鞭で合図を送り重心移動で扶助して手前を替えさせたわけです。
1:15〜
アポジーが手前を替えたところで武士沢がすかさず鞭を入れ「GO!!」。アポジーが仕掛けの合図を受けスパートします。
後続も必死に追いますが差が縮まりません。
1:34〜
そのままマルターズアポジーが押し切り重賞3勝目。鞍上武士沢にとっては重賞5勝目で、人馬共に最後の重賞勝ち鞍となりました。
2017関屋記念を見て抱いたのは、武士沢にせよアポジーにせよ「こうも後続を嵌めるようなレースができるのか」というポジティブな意外感。好発しながらも折り合って序盤からペースを支配し、精密なラップを刻んでリードを詰めさせない。直線でも余裕の手応えで馬群を引っ張り、しかし仕掛けどころは間違えず完封する。人馬一体の見事なレース運びに感心したものです。
とくに、鞍上の手前を替えさせてからの流れるようなGOとそれに応えるアポジーのスパートはかっこよかったですね。思い出に残っているレースの一つです。
〔50日前〕
Posted at
2024年11月19日(火) 23時23分48秒